第5章
人で成り立つ地域ブランド

CRAFTRIPビデオグラファー
熊谷 拓郎
2022年7月。コロナ禍の影響で活動停止を余儀なくされていたDoit松阪鶏焼き肉隊にとって、久々の表舞台の場が近づいて来ていた。2年ぶりに開催される松阪祇園まつりだ。鶏焼き肉の調理セットやイベント出展用の小道具を運搬するため、雨の中で仲間たちと準備をする。
「久々過ぎてどこに何があるか分らんわ」
そう言って森下さんは、楽しげな様子で仲間たちとせっせと動き回っている。ちょうど準備を終えるころには、雨が止み、雲の隙間から太陽の光が注がれていた。
本番当日、Doit鶏焼き肉の文字が印字されたのぼりの周りには、大勢の人が出入りをしていた。人ごみの中で、肉を焼く「ジュー」という音と、森下さんの「ありがとうございます!」という元気な声が聞こえてくる。